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Aさん
就職活動中の学生。自身に合った仕事を探すために、インターンシップへの参加を検討している。
神奈川トヨタ自動車 リクルート室 室長
神奈川トヨタ自動車の採用担当。 数多くの面接を担当するほか、会社説明会・入社後研修など様々な採用シーンで活躍。 就活生の気持ちに寄り添いながらも、採用者目線でアドバイスします。
インターンシップは、絶対に参加しなければならないものなのでしょうか?
インターンシップへの参加は、義務ではありません。参加するか否かは、本人の自由です。
学業やアルバイトで忙しいので、参加するか否か迷っています。
無理に参加せずとも就職活動は行えますが、インターンシップでしか得られないメリットもあります。
メリットですか?
インターンシップに参加するということは、学生のうちに一足早く実際の業務を体験できるということです。
仕事の楽しさや苦労、社会人としてのマナーなど、体験してみなければわからないことをたくさん学べるという点は、インターンシップならではのメリットだといえるでしょう。
確かに、実際の業務を体験できるというのは魅力的ですね。
インターンシップへの参加を迷っているという方に向けて、まずは知っておきたい基礎知識をご紹介しましょう。
「インターンシップ」とは?
学生が社会に出る前に、仕事を体験して業務の内容を理解したり、自己の適性を見極めたりする制度を「インターンシップ」といいます。
就業体験や就労体験とも呼ばれていて、大学2~3年生を対象としたプログラムが多く開催されています。
インターンシップでは、実際の業務を体験できる上に、社会人の先輩である社員と交流を持てることから、仕事のやりがいや面白さを学んだり、企業理念や社風を知ったりすることができるという点が特徴です。
やりたい仕事が見つからない、就職したい企業が見つからないという方は、まずはインターンシップに参加してみると良いでしょう。
【4類型】インターンシップの種類とそれぞれの特徴
2025年卒対象学生(2024年3月)より、インターンシップは3種類から4種類に変更されることが決まっています。
参加したいプログラムを探す前に、ぞれぞれの特徴を把握しておきましょう。
①オープン・カンパニー
企業や業界の情報提供やPRを目的として行われる説明会を「オープン・カンパニー」といいます。
主催となるのは、主に企業や就職情報を提供する会社、大学のキャリア支援センターであり、イベントという形で開催されることもあります。
半日や1日という短い期間で開催されることが多く、就業体験がないため採用には直結しないものの、企業や業界に関する情報収集に役立ちます。
志望業界が決まっていない、自身に合う仕事がわからないという方は、まずはオープン・カンパニーに参加してみると良いでしょう。
②キャリア教育
働くことへの理解を深めるために開催されるのが、「キャリア教育」です。
大学が授業や講義という形で実施することもあれば、企業がプログラムとして実施することもあります。
大学ではキャリア科目が開講されていることがあるので、必修科目でなくとも履修する方もいます。
オープン・カンパニー同様に採用に繋がることはありませんが、将来に向けて働き方の選択肢を広げたいという方におすすめです。
企業のプログラムに参加した場合は、社員と直接交流できるので、業務について話を 聞いてみると良いでしょう。
③汎用的能力・専門活用型インターンシップ
就業体験を通じて、業務への適性や能力を見極めるためのプログラムが「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」です。
学生にとっては採用に繋がる可能性があり、企業にとっては一定の条件を満たせば学生の情報を採用活動に繋げられることから、双方にとってメリットの大きいプログラムだといえます。
汎用的能力・専門活用型インターンシップの対象は、学部3・4年、修士1・ 2年です。
実際の業務を体験できることはもちろん、現場の社員からフィードバックを受けることもできるので、自身のスキルや能力を見極めることができるでしょう。
自己成長に繋がるという点でも、参加する意義のあるプログラムだといえます。
神奈川トヨタでは、「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」を実施しています。
公式ホームページの「申し込みフォーム」よりエントリーできるので、自分の価値観を明確にし、自己成長を実感したいという方は、この機会にぜひ応募してみてください。
④高度専門型インターンシップ
自らの知識やスキルを活用して、専門性の向上を目指すプログラムが「高度専門型インターンシップ」です。
就業体験を通して実際の業務を体験することで、実践力の向上も目指せるでしょう。
主な対象は、高度な専門知識やスキルを有する修士課程や博士課程の学生です。
汎用的能力・専門活用型インターンシップと同様に、一定の条件を満たすことで、企業側は学生の情報を採用活動に繋げることができます。
まだ試行段階にある高度専門型インターンシップは、今後定義や内容が変わる可能性がありますが、専門性を重視するジョブ型採用に興味があるという方は、ぜひ参加を検討してください。
【25卒以降】インターンシップの定義
2025年卒対象学生(2024年3月)から、インターンシップ の種類だけでなく定義自体が変更されると決まっています。
従来の定義とは大きく異なる部分があるので、要点を押さえておきましょう。
・就業体験がないと「インターンシップへ参加した」と認められない
・インターンシップで内定が決まる可能性がある
・インターンシップへの参加経験は採用選考に必須ではない
就業体験がないと「インターンシップへ参加した」と認められない
これまでは企業見学をしたり、業務に関する説明を受けたりするだけでも、インターンシップに参加したことが認められていました。
しかし、25卒以降、就業体験のないプログラムかつ5日以内では、インターンシップに参加したとは認められません。
短期のプログラムに参加する場合は、就業体験を行えるか否かチェックしておきましょう。
【インターンシップに参加したと認められる条件】
- 卒業、もしくは修了前年度以降の長期休暇期間中にインターンシップに参加すること
- インターンシップ実施期間の半分を超える日数、就業体験を行うこと
- 汎用能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上、インターンシップに参加すること
- 指導を受けた職場の社員からフィードバックを受けること
インターンシップで内定が決まる可能性がある
これまでは、政府によって企業が採用を目的としたインターンシップを行うことは禁止されていました。
しかし、25卒以降は、採用直結型インターンシップが解禁されます。
採用に直結するのは、「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」と「高度専門型インターンシップ」の2種類です。
「企業がインターンシップで得た学生の情報を、一定の条件を満たすことで採用選考に利用できる」という方針が示されているので、志望する業界や企業が決まっている場合は、採用を意識して参加すると良いでしょう。
インターンシップへの参加経験は採用選考に必須ではない
インターンシップに参加することで採用選考を有利に進められる可能性はありますが、反対に参加していないからといって採用選考で不利になることはありません。
また、インターンシップの選考を通過できなかった場合でも、採用選考へのエントリーが認められています。
志望する業界や企業があるという方は、インターンシップへの参加経験の有無は気にせずに熱意を持って採用選考にエントリーしましょう。
25卒以降は従来のインターンシップとは定義が異なりますが、採用に繋がる可能性があるというのは大きなチャンスです。
インターンシップを活用して、志望業界への就職を目指しましょう。
インターンシップに参加するメリット
実際の業務を体験したり、企業から直接話を聞いたりできるという点がインターンシップの魅力ですが、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
学生が得られるメリットについて、詳しくみてみましょう。
キャリアの選択に役立つ
インターンシップは、自身に合った仕事を見つけるきっかけとなります。
実際に働いてみると、自身がその仕事に適しているか否かを判断できます。
また、就職活動を行う前に業界や企業に関する情報を得ることで、入社後のミスマッチを防げるという点もメリットだといえるでしょう。
自身に適した業界や職種を見つけたい、将来働きたいと思える企業を見つけたいという方は、インターンシップに参加してキャリア選択に役立ててください。
業界・企業研究に役立つ
就職活動の際には、企業説明会や合同説明会に参加して、業界研究や企業研究を行うことになります。
説明会でも仕事に関する情報を収集できますが、職場の雰囲気や社員同士の関係性まではわかりません。
また、就職活動が行える時間は限られていることから、収集できる情報量が少なくなる可能性もあります。
インターンシップのプログラムは、本格的に就職活動を行う前に開催されるため、まだ時間に余裕があります。
実際に就業体験が行えることから、職場の雰囲気や社員同士の関係性といった情報も得られるでしょう。
自身に適した業界や業種を見つけるためにも、インターシップに参加して、業界研究や企業研究に役立ててください。
実践的なスキルが身に付く
インターンシップでは、就業体験を通して、実際の業務で必要とされるスキルを学ぶことができます。
また、実際に業務を行っている社員から直接フィードバックを受けられるため、自身の能力を客観的に見ることができるという点も大きなメリットだといえます。
大学で学んだ知識を業務に活用することで、自己の更なる成長が期待できるでしょう。
選考で有利になる可能性がある
「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」や「高度専門型インターンシップ」といった就業体験が行えるプログラムに参加すると、選考で有利になる可能性があります。
インターンシップは、学生にとって学びの場であると同時に自己をアピールする場でもあるので、能力を発揮すれば企業から早期選考に呼ばれるケースも珍しくありません。
学生の評価基準は企業によって異なるため、必ずしも選考で有利になるとはいえませんが、自身の将来に繋がる可能性があるということを踏まえた上で、プログラムに参加しましょう。
インターンシップを成功させるポイントと注意点
インターンシップを成功させることができるか否かは、事前準備にかかっています。
プログラムに参加する前に、成功させるポイントと注意点を把握しておきましょう。
・参加する目的を明確にしておく
・種類ごとの特徴や違いを把握した上で参加する
・気になる業界・企業研究をした上で参加する
参加する目的を明確にしておく
インターンシップに参加する前に、目的を明確にしておきましょう。
参加する目的は学生によって異なりますが、最低限「何を学びたいのか」、「今後にどのように活かしたいのか」を考えておくことが大切です。
せっかく選考を通過してプログラムへの参加が決まっても、目的がなければ意味もなく時間が過ぎてしまいます。
得た機会を最大限に活かすためにも、就職活動に繋げられるようにしっかりと目的を設定しておいてください。
種類ごとの特徴や違いを把握した上で参加する
一口にインターンシップといっても、4種類のプログラムが存在します。
それぞれの違いを把握しておかなければ、「オープン・カンパニーに参加したものの、採用に繋がらないなんて知らなかった」、「キャリア教育に申し込んだのに、就業体験ができなかった」と後悔することがあります。
2025年卒対象学生からインターンシップの定義が変わるという点をしっかりと把握した上で、目的に合ったプログラムに参加してください。
気になる業界・企業研究をした上で参加する
参加するプログラムは複数選べますが、長期インターンシップとなると参加できる数に限度があります。
限られた時間を有効活用するためにも、事前に業界研究や企業研究をしっかりと行っておきましょう。
就業体験ができるプログラムでは、実際に業務を行ったり、他の学生と意見交換を行ったりする機会があります。
専門用語や業界のトレンドを知らないとついていけなくなってしまうので、事前に業界や業務に関する知識を学んでおくことが大切です。
志望業種がまだ見つからないという方は、オープン・カンパニーやキャリア教育などの短期プログラムに参加しましょう。
志望業種が決まっているという方は、採用に繋がる可能性を考慮して、積極的に長期プログラムに参加することをおすすめします。
インターンシップの開催時期はいつ?
インターンシップは、主に7月頃から開催される「サマーインターン」と、12月頃から開催される「ウィンターインターン」の2種類存在します。
サマーインターンは6月頃、ウィンターインターンは10月頃から募集が開始されるので、エントリー(応募)を忘れないように注意しましょう。
正式な開催時期や期間、申し込みのタイミングは、企業やプログラムによって異なります。
サマーインターンでも4月頃から募集が開始されていることもあるので、参加を決めたらすぐに情報収集を開始してください。
インターンシップへの参加方法と流れ
インターンシップに興味を持ったものの、どのように参加すれば良いのかわからないという方もいるでしょう。
最後に、参加方法と流れについて解説します。
①インターンシップ先を探す
②エントリー(応募)する
③選考を受ける
④インターンシップに参加する
①インターンシップ先を探す
インターンシップへの参加を希望される方は、まずはプログラムを選択しましょう。
企業のwebサイトや就活情報サイトに募集要項が掲載されていることもあれば、大学のキャリア支援センターで紹介してもらえることもあります。
インターンシップの募集要項をよく比較して、自身が参加を希望するプログラムを選択してください。
複数のプログラムに参加することも可能ですが、期間が被ってしまうこともあるので、優先順位をつけて応募しましょう。
②エントリー(応募)する
参加したいプログラムを選定したら、募集要項に従ってエントリー(応募)を行います。
企業が指定する必要書類を準備した上で、エントリーを行いましょう。
企業によって、提出を求められる書類は異なります。
必要書類の数や種類をよく確認した上で、募集期限までに忘れずに提出してください。
③選考を受ける
応募したからといって、必ずしも希望するプログラムに参加できるとは限りません。
インターンシップでは、提出された書類をもとに選考が行われます。
書類選考を通過すると、適性検査や筆記試験、web試験や面接が行われ、合格者のみがプログラムへの参加を認められます。
面接で上手く受け答えができるように、事前に業界研究や企業研究を行っておくと良いでしょう。
④インターンシップに参加する
選考を通過すると、インターンシップへの参加が認められます。
プログラムの中で実際の業務を体験したり、社員から直接仕事に関する話 を聞いたりすることができるので、この機会を活かしてスキルアップに励みましょう。
就職活動に役立つという点も魅力ですが、自己成長が目指せるという点もインターンシップならではのメリットだといえます。
積極的に学ぶ姿勢を忘れずに、仕事のやりがいや面白さを探してください。
まとめ
義務ではないものの、インターンシップに参加することで様々なメリットが得られます。
志望業種の実際の業務について知りたい、少しでも早く就職活動に取りかかりたいという方は、ぜひインターンシップへの参加を検討してください。
就職してから後悔することがないように、学生のうちにできる限りの就業体験を行って、スムーズに社会人生活をスタートさせましょう。