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Bさん
就職活動を開始したばかりの男子学生。「学生時代に力を入れたこと」の書き方がわかっておらず、苦戦している。
神奈川トヨタ自動車 リクルート室 室員
神奈川トヨタ自動車の採用担当。 トヨタモビリティ神奈川で営業職を経験したのち、採用担当へ。 現場経験を活かし、より”リアルなノウハウ”で就活生をサポートします。
すみません。
今更な質問かもしれないのですが、「学生時代に力を入れたこと」って何を書けば良いのでしょうか?
構いませんよ。そこは就活生が詰まってしまいがちなところですよね。
行き詰まるのはみんな同じなんですね!
そうなんです。
せっかくの機会なので、今日は「学生時代に力を入れたこと」に何を書けば良いのか、書くポイントは何があるかなど、詳しく見ていきましょうか。
よろしくお願いします!
そもそも「学生時代に力を入れたこと」は何を書く項目?
「学生時代に力を入れたこと」は、学生時代に努力したことが何か、なぜ一生懸命取り組んだのか、その中でどのようなことが印象に残っているかなどを書く項目です。
略して「ガクチカ」と呼ばれており、就活ではどこの企業からも聞かれる基本的な質問として知られています。
「学生時代に力を入れたこと」に書く項目として代表的なテーマには、学業、部活やサークル活動、資格取得などがあります。
内容は、トップの成績を取った、全国大会に出場した、部活の部長を務めたというような、華々しいものでなくても構いません。
「学生時代に力を入れたこと」はなぜ書く?
「学生時代に力を入れたこと」をなぜ書くのか、その理由や目的をわかっていないと、要点を押さえて書くことはできないでしょう。
企業から聞かれることにも、それを答えることにも、きちんとした理由があります。
ここで、「学生時代に力を入れたこと」を書く主な理由を3つ確認していきます。
自分の強みを知ってもらうため
企業が「学生時代に力を入れたこと」で知りたいのは、その就活生の強みです。
例えば、「挫折を経験したとき、どう乗り越えたのか」というエピソードからは、その学生の粘り強さや、ポジティブさ、柔軟な思考などを読み取ることができます。
そうした強みが見えてくると、企業は「この就活生なら就職後もその強みを発揮してくれそうだ」と期待もできるでしょう。
そのため就活生は、自分の強みと思える部分が何か、エピソードに盛り込むことを意識して書く必要があるのです。
どのような人柄か確認してもらうため
企業は、応募者の人柄についても確認したいと考えています。
どれほど立派な経歴が書かれていても、人柄が企業の考え方とマッチしていなければ、一緒に働くことは難しくなってしまうためです。
書類に書かれた経歴に、「ボランティア活動に積極的に参加していた」「部活動に4年間参加し、チームを支えてきた」などの情報を付け加えることで、ようやくその人柄が見えてきます。
上記からは、「誰かの役に立つことが好きなのかもしれない」「面倒見がいい性格なのかもしれない」など、さまざまなことが読み取れます。
そのため就活生は、自分の人柄を紹介する意味もあることを踏まえ、「学生時代に力を入れたこと」を書き進める必要があるのです。
人に伝える力があるか見てもらうため
企業は、その就活生に「人に伝える力があるか」、というところも見たいと思っています。
働く上ではコミュニケーションが欠かせず、報告・連絡・相談の「報連相(ほうれんそう)」は仕事の基本です。
社会人として働く際は、限られた時間で的確に物事を伝えなければなりません。
お客様とコミュニケーションを取る営業や接客などの職種であれば、なおさら「伝える力」は重視されるでしょう。
「学生時代に力を入れたこと」という短いエピソードの中で、要点を押さえ、わかりやすく説明できるかというところを見ているのです。
そのため、就活生は、どうしたら相手に伝わりやすいかというところも意識しながら構成を考える必要があるといえます。
「学生時代に力を入れたこと」を書く際のポイント
なるほど、「学生時代に力を入れたこと」を書くのは、きちんとした理由があるんですね。
はい。企業は自分の強みや人柄、伝える力があるかどうかを読み取るので、しっかり内容を考えましょう。
わかりました!
でも文章を書くのって苦手で……上手く書くポイントってないでしょうか?
ありますよ。ではここで、「学生時代に力を入れたこと」を書く際のポイントを見ていきましょう。
①最初に結論を書く
「学生時代に力を入れたこと」では、最初に結論から書き進めましょう。
結論から述べることで、文章が整理され、わかりやすいものになります。
結論を最後に持ってくると、読み手は「何に力を入れた話なのか?」を最後に理解することになります。
そのため、「私が大学1年の頃ですが……」のように書き始めるのは避け、「私は大学生活で、部活動に打ち込んできました。部活動では……」のように、結論から書くことを意識しましょう。
「ガクチカ」は、履歴書やエントリーシートだけでなく、面接で直接聞かれることも多い質問でもあります。
口頭で説明する場合は、文章のように読み手のペースで読み進めたり、読み返したりできません。
そのため、より簡潔に分かりやすく伝える必要があるため、最初に結論を持ってくることが重要になります。
文章でも口頭でも、わかりやすいよう結論から述べるのは重要なテクニックですので、覚えておきましょう。
②その物事になぜ力を入れていたのかを書く
結論を述べたら、すぐ「その物事になぜ力を入れていたのか」という理由について述べると良いでしょう。
具体的には、「私は学業に力を入れてきました。その理由は、〇〇だからです」のように、結論と理由をセットにします。
上記のように構成することで、「何をどのように頑張ったのか」「なぜ頑張ったのか」をわかりやすく伝えられるためです。
また、「その物事になぜ力を入れていたのか」は、企業が応募者の人柄を見るためにも大切です。
応募者が重視している価値観や、主体性の有無などを見て、一緒に働けそうな人材かということを考えてもらえます。
そのため、その物事になぜ力を入れていたのかという理由を、必ず文章内に含めるようにしましょう。
③具体的なエピソードと共に、何を学べたのかを書く
最後に、具体的なエピソードと共に、何を得られたか、何を学ぶことができたかを書きましょう。
例えば、「取り組みの中で失敗や挫折を味わったとき、いかにして乗り越えたのか」、といったエピソードは、わかりやすく評価もしやすいです。
このようなエピソードからは、就活生の課題解決力、思考力、問題に取り組む姿勢、強みなど、多くのことが読み取れます。
効果的なアピールをおこないたいなら、こうした経験や学びを、就職後どのように役立てたいかといったことまで書いてあるとベストです。
受賞した、県大会で優勝したなど、華々しいエピソードを語るにしても、その過程と学び得たものについて書くことを忘れないでください。
「学生時代に力を入れたこと」の例文一覧
ここでは、「学生時代に力を入れたこと」で使える例文を、よく使われるテーマごとにご紹介します。
そのまま使うことも可能ですが、近年は、採用担当者側もインターネットを利用しており、コピペや使い回しが発覚してしまうこともあり得ます。
特に志望度が高い企業に応募するときは、参考程度に留めて使用してみてください。
学業に力を入れていた場合の例文
私が学生時代に力を入れていたことは、語学の習得です。
グローバル社会において、特に英語力は必須だと感じたため、英語の習得に特に力を入れていました。
TOEICで高得点を取りたいという思いでしたが、目標としている点数にまでなかなか届かず、悩む日々が続きました。
そこで考えたのが、学習方法や環境の見直しです。
同学年で英語の成績が優秀な友人から話を聞くことで、私の学習の進め方に不足があるのではないかと気付かされました。
そこで、より効率の良い学習方法と、よりネイティブな英語を学びたいと思い、熱心な講座を開催してくれるゼミに所属することで、学習の機会を増やすように努めました。
熱心な先生の指導のおかげもあり、ついに大学3年生の冬に、TOEICで〇〇〇点を獲得することができました。
この経験では、英語力だけでなく粘り強く努力することの大切さと、柔軟性を学びました。
これらの強みを生かし、粘り強く業務に取り組み、貴社に貢献したく思います。
部活動に力を入れていた場合の例文
私は学生時代に、〇〇の部活動に力を入れていました。
〇〇部の主将として頑張ってこられたのは、単純に〇〇が好きだっただけでなく、部活動における課題を解決することにも、大きな喜びがあったためです。
〇〇部はコーチがおらず、主将や副主将が練習メニューを考案する必要があります。
最初は全員同じ練習メニューをこなしていたのですが、個人の実力差ができてしまい、試合で思ったよりも活躍できないメンバーが出るなど、課題も出てきました。
そこで、個人に合わせた練習メニューも取り入れることで、一人一人の長所や短所と向き合い、県大会でも良い成績を残すことに成功しました。
私は、このように部活動で培った課題解決力を活かし、貴社に貢献したく思っております。
アルバイトに力を入れていた場合の例文
私が学生時代に力を入れていたのは、飲食店のアルバイトです。
料理が好きで、将来は飲食業界で働きたいと考えていたため、学生時代から多くの経験を積みたいと考えていました。
アルバイトを始めたばかりの頃は、忙しさに追われ、自分の作業をおこなうのが精一杯でした。
しかし、慣れて周囲が見えてくるようになると、先輩方がいかに協力やサポートをおこない、効率良く作業を進めていたかがわかりました。
自分一人で何でもやろうとせず、チームワークの輪の中に飛び込むことで、忙しさがピークになる時間帯でも余裕を持って対応できるようになりました。
私はアルバイトから学んだこの経験を活かし、団結力や協調性などを持って、貴社に貢献したく思っております。
「ガクチカ」にアルバイトの経験を書くときは、アルバイトが希望する業種や職種に関連するものであることが大切です。
例えば、「スポーツに関わる職業を目指していたからアルバイトもスポーツ用品店でおこなっていた」という内容であれば、関連性が高く好印象につながりやすいといえます。
一方で、明確な目的を持たずにおこなっていたアルバイトは、その経験が糧になっていても、必ずしも評価されるとは限りません。
学生の本業は学業であり、アルバイトは学生時代でなくてもできるものです。
希望する業種や職種と関連性が低いアルバイトであれば、他の内容を記載した方が高評価につながりやすいでしょう。
ボランティア活動に力を入れていた場合の例文
私は、学生時代にボランティア部に所属し、ボランティア活動に力を入れてきました。
ボランティア部の先輩と話す機会があり、子供やお年寄りなど困っている人が多いことを知り、力になりたいと思ったためです。
貧困家庭のために毎月開催されている子供食堂に参加させて頂いたり、高齢者福祉施設ではお年寄りの話し相手になったりと、多くの経験をしました。
特に学びが多かったのは、相手に合わせたコミュニケーション方法です。
一口に子供といっても性格は個々に違い、身長の高い私との会話を怖がることもありました。
お年寄りも、耳が遠かったり言葉に方言が混ざっていたりと、最初のうちはスムーズに話すことができないことが多かったです。
そこで、子供には目線を合わせる、お年寄りにはゆっくりはっきり喋るなど、相手に合わせたコミュニケーション方法がさまざまにあることを学び、実践しました。
貴社では、営業職を希望していますので、相手としっかり向き合ったコミュニケーションを常に模索し、お客様と良好な関係を築くことに尽力したいと思っています。
「学生時代に力を入れたこと」のNGや注意点
ポイントも例文もわかったので、一回書いてきます!
おっと。ちょっと待ってください。大切なことを伝え忘れていました。
大切なことですか?
実は「学生時代に力を入れたこと」には、書いてはいけないことがあるんです。
えっ!?
ここでは、「学生時代に力を入れたこと」に書くNGや注意点を見ていきましょう。
自慢話で終わってしまうのはNG
「学生時代に力を入れたこと」に書く内容が、自慢話になってしまわないように注意しましょう。
アピールするべきことは、頑張った結果や過程で、何を学び取れたかという部分です。
例えば、良い学校を卒業できたことは経歴欄に、優れた資格を取得していることは資格欄に書かれており、情報が重複してしまいます。
また、華々しい成果を得られたという自慢話で終わってしまうと、強みや人柄など、採用担当者が見たい部分が見えてきません。
自慢話で終わっていないか必ず確認し、何を学び取ったかを書くようにしてください。
嘘や誇張を含まないように注意
「学生時代に力を入れたこと」の内容には、嘘や誇張が含まれないようにしましょう。
実際に面接の場で「学生時代に力を入れたこと」を聞かれたとき、履歴書上の内容と整合性が取れなくなることがあるからです。
嘘をついていると感じられた場合は、印象が悪くなり、選考に落ちてしまうリスクが高まります。
部活で補欠であってもチームを支える役割を担っていたり、部活・サークルなどに所属していなくても学業に専念していたりと、深堀りすれば良いエピソードは出てくるはずです。
採用担当者は多くの人を見てきているため、嘘や誇張はすぐに見抜いてしまいます。
就活では自分をより良く見せようと思ってしまいがちですが、嘘や誇張はまず書かないように注意してください。
伝えるエピソードが多いと悪印象に
エピソードが、より伝わりやすくするために「学生時代に力を入れたこと」で紹介する内容は、1つに絞りましょう。
多くのエピソードを書くと、要点がぼやけてしまい、伝わりにくくなってしまいます。
採用担当者にも、「何かを色々と頑張っていた人」、「話が長く要点をまとめられない人」など、悪印象を抱かれるおそれがあります。
そのため、自分の強みや魅力を伝えられるエピソードの中から、その企業で活かせそうなものを1つ選んで書くようにしてください。
他のエピソードは自己PRや志望動機などの他の質問で使うことができ、内容によっては他の企業の応募に活かせることもあるため、詰め込まないようにすることが大切です。
「学生時代に力を入れたこと」は採用担当者に伝わるように仕上げよう
この記事では、「学生時代に力を入れたこと」の基本から、ポイントや注意点などについて、詳しくご紹介しました。
「学生時代に力を入れたこと」は、採用担当者に強みや人柄、伝える力などをアピールするための、大切な項目です。
自慢話に終始してしまったり、嘘や誇張を含んだりという、悪印象につながることはNGです。
ポイントを押さえて、採用担当者にしっかりアピールできるような文章に仕上げてみてください。