記事に登場するキャラクター
Bさん
経済学部の学生。自分の進路について悩んでおり、同じ学部生の就職先や人気がある業界を調べている。
神奈川トヨタ自動車 リクルート室 室員
神奈川トヨタ自動車の採用担当。 トヨタモビリティ神奈川で営業職を経験したのち、採用担当へ。 現場経験を活かし、より”リアルなノウハウ”で就活生をサポートします。
突然ですが、就職活動に必要なことは何だと思いますか?
希望する就職先を決めることでしょうか。
もちろん、それも大切です。しかし、希望する就職先を決めるためには、まずは自身に合った仕事を知る必要があります。
自分に合った仕事ですか?
例えば、営業職と決めていても、その種類は多種多様です。同じ営業職でも、自身に合う仕事もあれば合わない仕事もあるでしょう。
なるほど。自分に合う仕事を見つけることができれば、就職活動もスムーズにおこなえそうですね。
その通りです。今回は、営業の種類や仕事内容、必要なスキルやメリット・デメリットをご紹介します。
営業職とは?
顧客のニーズに合わせて、自社の商品やサービスを提案する仕事を「営業職」といいます。
新規顧客や既存顧客に対し、自社の商材の魅力や活用方法を紹介して購入を促します。
顧客に購入してもらうことができれば、自社の売り上げに繋がります。
営業職は、「セールス」という名前で呼ばれることもあります。
【顧客別】営業の種類
営業職は、顧客別にみると主に下記の2種類に分かれます。
・法人営業(B to B)
・個人営業(B to C)
顧客別に営業の種類とそれぞれの仕事内容をご紹介します。
法人営業(B to B)
企業を対象として営業活動することを「法人営業」、または「B to B営業」といいます。
法人営業では原料や部品などの未完成の商材に加え、社用車・公用車 やOA機器、保険、ソフトウェアサービス、人材紹介など様々な商材を取り扱います。
企業に対して営業をおこなうため、基本的に1契約あたりの金額が大きな取引となることが多く、長期に渡って営業活動することになるでしょう。
企業の担当者や経営層へのアプローチが必要となるため、その会社のニーズや課題に合った商材を紹介する提案力が求められます。
また、個人営業と比べて契約までの期間が長くなる傾向があるため、粘り強くアプローチする力が求められます。
個人営業(B to C)
一般消費者をはじめとした個人を対象として営業活動することを「個人営業」、または「B to C営業」といいます。
個人営業では、主に保険やインターネットサービス、自動車、不動産といった商材を取り扱うことが多く、企業のような大きな組織とは異なり個人に対しての営業となるため、法人営業に比べると低価格の取引が多くなるという点が特徴です。
個人にアプローチするためのコミュニケーション力や、信頼関係を構築するための細やかな気配りが重要となるでしょう。
【営業形態別】営業の種類
営業形態によって、営業職は以下の3種類に分かれます。
・メーカー営業
・代理店営業
・商社営業
営業形態の違いによる営業職の仕事内容をご紹介します。
メーカー営業
自社が製造した製品や展開しているサービスを販売する営業のことを、「メーカー営業」といいます。
他社の製品やサービスとの違いを伝えて顧客に購入を促したり、納入した製品やサービスのメンテナンスや改善をおこなったりします。
また、顧客からの意見や要望を自社内の担当部門に伝えることもあるでしょう。
納期の調整や交渉といった仕事をすることも多いです。
代理店営業
自社の製品やサービスを販売してくれる代理店を開拓したり、商材の販売をサポートしたりする営業を「代理店営業」といいます。
顧客に直接商材を販売するのではなく、販売してくれる代理店に対して商材の説明をし、購入してもらうことが仕事です。
販売代理店の協力を仰ぎながらも、販売代理店に寄せられた苦情や要望に対処が求められることもあるでしょう。
自身で顧客に直接的に商材を販売することはありませんが、代理店が販売しやすい環境を整えたり、販売してもらう営業を育てるという「人材育成」をおこなう必要があるなど、営業の中でも特殊なスキルが必要となります。
商社営業
企業や個人から仕入れた商材を販売する営業を、「商社営業」といいます。
他の営業職との大きな違いは、顧客へ商材を販売するだけでなく、商材を仕入れるための営業も必要となるという点です。
自社製品のように商材が決まっていないため、幅広い商材を取り扱うことになるでしょう。
コミュニケーション能力や商品知識といった営業職としてのスキルはもちろん、商材によっては外国語のスキルも求められます。
【扱う商材別】営業の種類
扱う商材によって、営業職は主に以下の2種類に分かれます。
・有形商材
・無形商材
有形商材と無形商材の違いによる営業職の仕事内容をご紹介します。
有形商材
目で見て形があるとわかる商材のことを「有形商材」といいます。
不動産や自動車、芸術品や医薬品など、形があって手で触れることが可能な商材だと覚えるとわかりやすいでしょう。
法人向けであれば、OA機器や医療機器などが挙げられます。
形があるものは顧客にとってもイメージが掴みやすいため、商材の情報を伝えやすいというメリットがあります。
無形商材
形がある有形商材に対し、目で見て形がない商材のことを「無形商材」といいます。
保険や旅行、人材紹介やコンサルティングなど、形がなく直接手で触れられない商材を指します。
イメージの掴みにくい情報や技術を扱うことが多く、専門性の高い内容となるため、顧客に商材の情報を正しく分かりやすく伝えることが大切です。
無形商材を取り扱う場合は、商材を上手く説明するスキルや論理的に話す力が求められるでしょう。
【営業手法別】営業の種類
営業手法によって、営業職は主に以下の5種類に分かれます。
・新規開拓営業
・ルート営業
・テレアポ・訪問営業
・飛び込み営業
・インサイドセールス
新規開拓やルートといった、営業手法の違いによる営業職の仕事内容をご紹介します。
新規開拓営業
新規の取引先を一から開拓する営業を「新規開拓営業」といいます。
「営業といえば新規開拓営業を指す」というほどオーソドックスな営業手法です。
ファーストコンタクトとしてアポイントを取る必要がありますが、断られることも多く、顧客に対して根気強くアプローチしなければなりません。
顧客との信頼関係を築く前に商材の説明が求められるため、わかりやすく簡潔に商材の魅力を伝えるスキルが求められます。
ルート営業
取引実績がある既存顧客に対し、新しい商材を紹介したり、取引の継続を目指したりする営業を「ルート営業」といいます。
すでに信頼関係を築いている顧客に対して営業をするため、新規開拓営業よりも簡単だというイメージがありますが、顧客との良好な関係を築き、継続するための細やかな気配りが必要です。
商材を販売して終わりではなく、丁寧なアフターフォローが必要となることから、人によっては新規開拓営業よりも難しいと感じるでしょう。
テレアポ・訪問営業
電話で顧客と会う約束を取りつける営業手法を「テレアポ営業」といいます。
商材を紹介するために顧客と会う約束を取りつけることが目的であるため、商材の詳細な説明をする必要はありません。
商材に関する知識よりも、短時間のうちに顧客に「商材についてもっと詳しく知りたい」と思わせるスキルが求められるでしょう。
テレアポで約束を取りつけた後に、顧客に直接会って商材を販売する営業を「訪問営業」といいます。
営業職によく活用される営業手法で 、多くの顧客を獲得するために直接商材のアプローチをおこないます。
飛び込み営業
テレアポ・訪問営業とは少し異なり、事前の約束なしに顧客の元を訪れておこなう営業を「飛び込み営業」といいます。
企業から個人まで幅広い顧客が対象で、テレアポに時間をかける必要がないという点がメリットです。
その一方で、相手の状況やニーズを確認せずに営業しなければならないため、断られるリスクが高いというデメリットもあります。
直接顔を合わせて話しができることから、上手く信頼を得ることができれば、思わぬ成約を獲得できる可能性もあります。
しかし、現代ではオンライン商談や電話、メールなど提案する手法が多様化していることや、営業にも効率化を求める企業が多いため、飛び込み営業をおこなう企業は減少傾向にあります。
お客様の都合に関わらず訪問する飛び込み営業は、断られることが多く、精神的な負担が大きいと感じる人もいるでしょう。
インサイドセールス
見込み顧客に対して、直接対面せずに電話やメール、チャットやweb会議システムといったツールを用いておこなう営業を「インサイドセールス」といいます。
近年注目されている営業手法で、外勤が当たり前の従来の手法とは異なるという点が特徴です。
顧客の元に訪問する時間や手間がかからないことから、上手く活用すれば効率的に営業を行えるというメリットがあります。
【その他】特殊な営業の種類
営業職の中には、特殊な仕事も存在します。
ここでは、2種類の特殊な営業の仕事内容をご紹介します。
海外営業
自社の商品やサービスを海外顧客に向けて販売する営業のことを「海外営業」といいます。
海外展開しているメーカーや商社、旅行社に必要な営業職で、国内と海外の2種類の働き方があります。
国内で働く場合は海外にある代理店に対して営業活動を行い、海外で働く場合は自社の拠点に駐在員として滞在し、現地の企業に対して営業活動を行うことになるでしょう。
海外営業として働くためには、高い語学スキルが求められます。
医薬営業(MR)
医療現場に行き、医療従事者に対して自社の商材を販売する仕事を「医薬営業(通称・MR)」といいます。
医薬品メーカーや医療機器メーカーに必要な営業職で、対象顧客は主に医師です。
商材は医薬品や医療機器であるため、自社製品に関する知識はもちろん、医療に関する専門的な知識も必要となります。
専門性が高く難しい仕事ですが、命に携わることから社会的意義を感じやすく、大きな働きがいが感じられる仕事でもあります。
営業職に必要なスキル
職業によっては、応募条件に資格や経歴が求められることがありますが、営業職には主に以下のようなスキルが求められます。
・コミュニケーション能力
・論理的思考力
・交渉力
営業の仕事をする上で必要となるスキルについて解説します。
コミュニケーション能力
営業職では、商材の魅力を伝えるためのプレゼン能力 が必要ですが、それと同じくらい、顧客から情報を引き出す力も必要です。
提案する商材が顧客のニーズや課題に沿っていなければ、契約してもらうことは難しくなるため、情報を提供するだけでなく、顧客の声やニーズに耳を傾ける力も求められるのです。
営業職には、顧客との意思疎通を図るための高いコミュニケーション能力が必要だといえるでしょう。
論理的思考力
情報を収集して分析し、冷静に戦略を練る論理的思考力も、営業職には必要なスキルだといえます。
顧客へ商材をわかりやすく紹介することはもちろんですが、顧客の声をもとに必要としている商品やサービスを理解することも大切です。
ヒアリングした内容をもとに、市場の現状や顧客のニーズなどを踏まえた分析を基に 提案すれば説得力のある提案ができます。
また、契約してもらうだけでなく、競合他社に打ち勝つ戦略を練る必要もあるでしょう。
論理的思考を身につける ことで、営業ノルマなどの目標を達成するために必要なことを逆算して考えられるようになります。
営業成績を伸ばせるか否かは、論理的思考力を活かせるか否かにかかっているといえます。
交渉力
コミュニケーション能力を活かし顧客から情報を集め、論理的思考力を活かして分析や戦略を練った上で最後に必要となるのが、交渉力です。
営業職には、顧客に納得してもらうための交渉力も必要となります。
自社の商品やサービスがどのように役に立つのか、どのようなメリットをもたらすのかを伝えることで、顧客が購入という行動を起こすための後押しをするのです。
後押しができなければ、自社商材の情報提供だけで終わってしまうこともあるため、売り上げを作るには交渉力も必要だといえるでしょう。
また、商社のように仕入れも担う営業の場合は、値引き交渉など の交渉力も必要となるでしょう。
基本的に営業職はどなたでも応募できますが、人によって向き不向きな場合もあります。営業職を目指したい場合には、コミュニケーション能力や論理的思考力といったスキルを高める努力が必要です。
きつい?辛い?営業職のデメリット
営業職について調べると、「きつい・辛い」という言葉を耳にすることがあります。
その理由の大半が、ノルマにあるといっても過言ではないでしょう。
企業によっては厳しいノルマが課されることがあり、プレッシャーを感じることがあります。
ノルマがあることで働きがいを感じられる人もいますが、仕事量に対して給料が見合っていなかったり、ノルマの存在に自身が押し潰されそうな感覚になったりすると、「きつい・辛い」と感じてしまう人もいます。
特に営業職に就いたばかりで慣れないうちは、ノルマに対してネガティブな感情を抱くこともあるかもしれません。
しかし、経験を重ねて営業の仕事に慣れることで、働きがいを見出す方も多いです。
そればかりか、慣れるにつれてノルマという目標があることで営業活動がしやすくなると感じる人もいます。
働きがい満点!営業職のメリット
「きつい・辛い」といわれることもある営業職ですが、以下のようなメリットもあります。
・高収入が目指せる
・成果を実感しやすい
・幅広い人脈を築ける
営業職に就くことで得られる具体的なメリットについて解説します。
高収入が目指せる
企業によっては、営業成績を上げると、基本給に加えてインセンティブが支払われることがあります。
企業の売り上げに貢献した社員に対して支払われるもので、「奨励金」や「報奨金」と呼ばれることもあります。
自身の努力次第で得られるため、インセンティブをモチベーションとして営業の仕事に臨んでいる方も多いです。
基本給にプラスされて収入が決まるため、営業成績によっては高収入が目指せるでしょう。
成果を実感しやすい
成果の測り方は仕事によって異なりますが、営業職の良い点は、「目に見える形で成果が測れる」という点です。
売上金額や顧客の獲得数といった数字で成果が測れるため、自身のモチベーションが上がりやすいだけでなく、周囲からも評価されやすいというメリットがあります。
また、顧客と顔を合わせてコミュニケーションを図れることから、感謝や喜びの声を直接受け取れるというのも営業職のメリットだといえるでしょう。
幅広い人脈を築ける
営業職は、多くの人と交流する仕事です。そのため、仕事を続けるうちに人脈が広がっていきます。
顧客と信頼関係を築くほどに仕事の成果も得やすくなることから、営業職にとって人脈は一つの財産ともいえます。
普段接することのないような様々な年代・立場の人と関われるため、人生観が広がったという意見も多く見られます。
また、信頼関係が築けている顧客が他の企業へ紹介や斡旋をしてくれることがあるため、営業職に従事する期間が長くなると、より働きがいを感じられるようになるでしょう。
営業職にはデメリットもありますが、他の職業にはないメリットを得られることもあります。仕事へのモチベーションをアップするためにも、就職活動する前に働きがいがある仕事か否かチェックしておくことも大切です。
まとめ
人と接することが好き、目に見える形で成果を得たい、高収入を目指したいという方には、営業職がおすすめです。
営業職に就くことを希望する方は、営業手法を知ってから、扱う商材 ごとに自身に合う仕事を探しましょう。
営業職にはデメリットもありますが、他の職業にはないメリットもたくさんあります。
これから社会人としての一歩を踏み出すという方は、希望する営業職で自身のキャリア形成を目指してください。