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Bさん
エントリーする企業を探している学生。ボーナスがもらえる企業への就職を希望しており、具体的な支給月や入社1年目でも支給されるのかといった点が気になっている。
神奈川トヨタ自動車 リクルート室 室員
神奈川トヨタ自動車の採用担当。 トヨタモビリティ神奈川で営業職を経験したのち、採用担当へ。 現場経験を活かし、より”リアルなノウハウ”で就活生をサポートします。
ニュースを見ていると「夏のボーナス」「冬のボーナス」ってよく聞くんですけど、いつごろ支給されるんでしょうか?
法律などで厳格に決められているのかな…?
ボーナスの支給時期は企業によって異なります。具体的な支給日は会社の方針や業績によって変わることが多いんですよ。
なるほど、時期は企業によって違うんですね。じゃあ、ボーナスって大体いくらほどもらえるんでしょうか?やはり金額も気になります。
それも企業によってさまざまです。今回の記事では、一般的なボーナス支給日に加えて新入社員へのボーナス支給事情も紹介していく予定です。ぜひこれからの就活に役立ててみてください。
ボーナスとは
ボーナスは、企業に雇用されている人が通常の給与とは別に支給される一時金のことを指します。
「賞与」や「特別手当」と呼ばれることもあり、雇用主が従業員に対して特別な貢献 や業績に対する報奨として支払うものです。
ただし、法律ではボーナスの支給に関して、明確に規定されていません。 そのため、支給しなかったり、毎月の給与に12分割したボーナス額を上乗せして支給したりする会社も存在します。
ボーナスは給与に比べて不確定要素が多く、業績や経営状況によって変動することもあるので、企業ごとのポリシーを確認しておくことが大切です。
ボーナスはいつもらえる?
募集要項に「賞与:年2回」などと書かれている場合は、夏と冬に支給されることが多いです。
これは、半期ごとに業績や社員の貢献度を評価し、報酬として支給する企業が多いためです。 夏のボーナスは6月下旬から7月上旬にかけて、冬のボーナスは12月中旬に支給されることが一般的です。
なお、国家公務員の場合は人事院規則により6月30日と12月10日が支給日と定められています。
ボーナス支給日 | |
---|---|
民間企業 | 夏:6月下旬~7月上旬にかけて 冬:12月中旬ごろ ※ただし、支給回数・支給時期は企業ごとに異なる |
国家公務員 | 夏:6月30日 冬:12月10日 |
地方公務員 | 各自治体の条例によって支給日が決められているが、基本的には国家公務員の支給日に合わせていることが多い |
民間企業のボーナス支給日は企業が独自に設定でき、給与日とは別の日にしていること が多いです。
たとえば、神奈川トヨタの場合は7月と12月が支給月(年2回)です。ボーナスは頑張った成果の評価ともいえるため、新たな目標に向けてのモチベーションとなります。
皆さんにとっても、ボーナスはやりがいの1つにもなるでしょう。
民間企業のボーナスはタイプによって支給時期が異なる
民間企業のボーナスは、大きく「基本給連動型賞与」「業績連動型賞与」「決算賞与」の3つのタイプに分かれます。それぞれの特徴と支給時期は以下の通りです。
特徴 | 支給額の決め方 | 支給時期 | |
---|---|---|---|
基本給連動型賞与 | 多くの企業が導入しているスタンダードな賞与タイプ。 | 「基本給×月数」で支給額を算出。 | 一般的な支給タイミングは夏と冬の年2回。 |
業績連動型賞与 | 企業の業績および個人の評価を連動させる賞与タイプ。 | 在籍年数に関わらず、組織や部門、個人の業績・評価によって支給額が決まる。 | 一般的な支給タイミングは夏と冬の年2回。 |
決算賞与 | 決算月の前後で業績に応じて支給される臨時の賞与。 | 業績によっては無支給の場合もある。 | 事業年度終了日の翌日から1カ月以内。 |
ボーナスは必ず支給されるとは限らない
先ほどお伝えした通り、ボーナスの支給は法律で定められていないため、支給するかどうかは各企業の方針によって異なります。
各企業のボーナス支給に関する情報は、就業規則に明記されています。ボーナスの有無や支給時期、支給の基準などは就業規則をチェックしてみると良いでしょう。
ボーナスに関する話題をよく耳にすると思いますが、すべての企業がボーナスを支給しているわけではありません。
厚生労働省の調査によると、令和4年は約3割の企業が夏季賞与・年末賞与を支給していないという結果が出ているそうです。
新入社員でもボーナスはもらえる?
ボーナス支給の制度がある会社に入社しても、新入社員が1年目から満額もらえるケースは滅多にないですよね?
そうですね。新入社員の人たちがボーナスを満額受け取れるようになるタイミングは企業によって異なりますが、夏のボーナスは支給されないことが多いようです。
もしかして、入社2年目にならないともらえないってこともあり得ますか?
はい。なかには入社2年目以降で満額支給にしている企業もあります。
ここでは、新入社員がボーナスを満額受け取れる一般的なタイミングと、非正規雇用(契約社員やアルバイト)で採用された場合の支給事情について見ていきましょう。
新入社員は冬のボーナスから満額もらえる傾向
ボーナスが年2回ある企業の場合、入社1年目で夏のボーナスから満額もらえるケースは珍しく、冬から支給されることが多い傾向です。
その理由は、大きく分けて2つです。
まず、業績連動型賞与を導入している企業の場合、夏のボーナス支給額を決定する査定は10月から3月頃にかけて行われることが一般的です。
しかし、この時期は新入社員が入社する前で個人を評価する材料が不足しているため、夏のボーナスは支給されないケースが多くなっています。
また、なかには新入社員を入社後半年程度まで試用期間とみなす企業もあります。
このような理由から、夏は無支給あるいは寸志を支給し、冬から満額支給にしている企業が多いです。
寸志とは「ちょっとした贈り物」を指す言葉です。
会社から社員に対してボーナスの代わりとして支給される場合は、基本給よりも少ない1万〜10万円程度の金額になることが一般的とされています。
契約社員・アルバイトも支給される場合がある
ボーナスは、正社員だけでなく非正規雇用の契約社員、アルバイト、パートなどの従業員にも支給されることがあります。
これは企業が従業員全体に感謝の意を表し、モチベーション向上や仕事へのやりがいを促進するための一環といえるでしょう。
ただし、ボーナスに関する具体的なルールや条件は企業によって異なり、法律や労働基準法で厳密に規定されているものではありません。つまり、支給の有無や支給額、対象者などはすべて各企業の判断に委ねられているのです。
公務員の支給額は法律・条例で定められている
公務員として働くことを検討している方は、公務員独自のボーナス支給制度も理解しておきましょう。
国家公務員・地方公務員の支給額は、それぞれ法律と各自治体の条例によって厳格に定められていて民間企業の労働組合のように金額交渉することはできません。
しかし、その代わりに公務員の給与やボーナスについては国の機関として人事院が設置されています。
毎年、人事院は公務員給与に関する勧告を行い、民間企業と比較してかけ離れない適切な支給額を定めています。
労働組合の有無でボーナス額は異なるのか
労働組合は、会社の従業員を代表してさまざまな権益を守る組織です。ボーナスの支給額は就業規則にもとづくものであり、この決定において労働組合が重要な役割を果たします。
たとえば、基本給連動型賞与で「基準額×◯ヶ月(× 評価係数)」の計算方法で支給額を定めている場合、「◯ヶ月」の部分は会社が自由に決定できます。
しかし、労働組合があれば会社の財務状態や経営成績をベースに労働者側が考える適切な月数を算定し、団体交渉権をもって会社と交渉することができるのです。
経営者が正当な理由なく賞与を削減しようとする場合は、労働組合がその抑止力となり双方が納得できるまで話し合いをする仕組みになっています。
ボーナスの平均額
ボーナスの年平均額は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」から確認できます。
2022年の調査結果によると、年齢別のボーナス平均支給額は以下のようになっています。
年齢 | ボーナス平均支給額 |
---|---|
~19歳 | 16万100円 |
20~24歳 | 38万5,600円 |
25~29歳 | 63万5,000円 |
30~34歳 | 77万1,100円 |
35~39歳 | 84万6,600円 |
40~44歳 | 98万500円 |
45~49歳 | 104万2,600円 |
50~54歳 | 109万7,100円 |
55~59歳 | 111万4,000円 |
新卒が多い20代前半は少なく、年齢が上がるにつれて支給額も増えていくことが分かります。続いて、民間企業と国家公務員の支給額は平均いくらになっているのか見ていきましょう。
民間企業のボーナス(夏・冬)平均支給額
厚生労働省の統計によると、2022年冬に民間企業が支給した平均額は842,978円。2023年夏に民間企業が支給したボーナスの平均額は845,557円というデータが出ています。
ただし、この統計は中小企業の実情とは少し異なっている可能性がある点を理解しておいてください。
2022年冬のボーナスに関しては「資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業367社」、2023年夏のボーナスに関しては「資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業351社」を対象としています。
国家公務員のボーナス(夏・冬)平均支給額
国家公務員のボーナス平均支給額は、内閣官房が公表している資料から把握できます。
その資料によると、2022年冬のボーナスは平均65万2,100円で、2023年夏は平均63万7,330円です。
なお、このデータは管理職を除いた国家公務員の平均ボーナス額です。 2022年夏のボーナス支給額の平均は58万4,100円だったので、一年前より約5万円増額していることになります。
参考:「内閣官房|令和4年12月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」
参考:「内閣官房|令和5年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」
ボーナスから差し引かれる項目と計算方法
「今月はボーナスが入るからいつもより奮発しちゃおう!」と考える方は少なくないと思いますが、額面(総支給額)をすべて受け取れるわけではない点に注意が必要です。
給与の額面から社会保険料などが差し引かれるように、ボーナスもさまざまなお金が差し引かれることになります。
ここでは、ボーナスから引かれる税金・保険料について確認していきましょう。
健康保険料
ボーナスから差し引かれる健康保険料は、以下の仕組みに基づいて計算されます。
1. 標準賞与額の算出
標準賞与額とは、ボーナス支給額の額面から1,000円未満を切り捨てた金額を指します。
2.健康保険料率を調べる
次に、健康保険料率を調べます。これは毎月の給与から差し引かれる健康保険料と同じ料率で、会社が加入している保険の種類によって異なります。
3.健康保険料の計算式
最終的に差し引かれる健康保険料は、以下の計算式で求められます。
【健康保険料=標準賞与額× 健康保険料率 × 1/2】
協会けんぽ(全国健康保険協会)が公表している令和5年度の都道府県別保険料率を見てみると、神奈川県の健康保険料率は「10.2%」です(2023年11月時点)。
ただし、実際はこの保険料率を事業者と被保険者が双方で負担することになるため、引かれる割合は少なくなります。
細かい数字に関しては会社が加入している健康保険によって異なるので、具体的な情報を確認することが大切です。
厚生年金保険料
ボーナスからは、厚生年金保険料も差し引かれることになります。
2023年4月現在の厚生年金保険料率は18.3%で、この料率は労使で半分ずつ負担されるため実質的には9.15%がボーナスから差し引かれます。
厚生年金保険料の計算式は以下のとおりです。
【厚生年金保険料=標準賞与額×18.3%×1/2】
ちなみに、保険料率は2004年から段階的に引き上げられてきましたが、2017年9月で終了して現在の数字に固定されています。
雇用保険料
ボーナスから差し引かれる雇用保険料率は、業種によって異なります。2023年度の雇用保険料率は一般の事業で0.6%、農林水産・清酒製造事業、建設業で0.7%です。
雇用保険料の計算式は以下のとおりです。
【雇用保険料=標準賞与額×雇用保険料率】
雇用保険料率は毎年変動する可能性があるため、最新の情報は厚生労働省の「雇用保険料率について」で確認しておくとよいでしょう。
所得税
ボーナスも所得税の対象となります。
所得税率は、ボーナスが支給される前月の給与から社会保険料を差し引いた金額をベースに計算されます。
なお、扶養親族の人数も所得税率に影響する点を認識しておきましょう。
所得税の計算式は以下のとおりです。
【所得税=(ボーナス総支給額―社会保険料)×所得税率】
具体的な税率は、国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和 4 年分)」で確認できます。
所得税率は所得が多いほど高くなる仕組みですが、その一方で扶養家族が多いほど税率が低くなるという特徴もあります。
住民税は差し引かれない
住民税は毎月の給与から差し引かれる税金ですが、ボーナスには適用されません。
ボーナスから住民税が引かれることはありませんが、住民税額を算出する際の所得金額には支給されたボーナスも含まれます。
まとめ
ボーナスの支給有無は、職場選びの際にチェックしておきたい要素であり、給与と同様に重要な労働の対価となります。
しかしながら法的な義務はなく、必ずボーナスが支給される訳ではないため、就職活動を進める際は、給与体系だけでなくボーナスの規定も確認することが重要です。
支給のタイミングや回数についても企業ごとに異なります。具体的な情報は就業規則、労働協約、労働契約などに記載されています。不明な点があれば人事担当者や総務・経理の担当者に直接聞いてみましょう。