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Bさん
営業職に興味があり、自分に向いている業種を探している就活生。業種によってどの程度年収が変わるのか気になっている。
神奈川トヨタ自動車 リクルート室 室員
神奈川トヨタ自動車の採用担当。 トヨタモビリティ神奈川で営業職を経験したのち、採用担当へ。 現場経験を活かし、より”リアルなノウハウ”で就活生をサポートします。
「福利厚生」について、どの程度知っていますか?
企業が従業員に対して提供しているサービスのようなものですよね。
簡単にいえば、その通りです。実は福利厚生と一口にいっても様々な種類があり、企業によって導入・実施している内容は異なります。
就職先次第で、利用できる内容に差があるということですね!
その通りです。今回は、就職活動の一つの目安となる「福利厚生」の種類や人気の高い取り組みをご紹介します。就職活動をする前に、福利厚生についてしっかりと把握しておきましょう。
「福利厚生」とは?
企業から従業員へ提供される報酬や従業員をサポートする取り組みを「福利厚生」といいます。
金銭で支援する方法もあれば、レストランや映画のチケットを配布したり、カフェやジムといった社内施設を用意したりと、取り組みの内容は多岐に渡ります。
福利厚生の対象となるのは、正社員だけではありません。
企業に勤務する契約社員やパートタイマー、アルバイトなど、従業員全てが対象となる福利厚生もあります。
福利厚生の対象は、それぞれ異なるため、内容や条件も併せて確認すると良いでしょう。
「福利厚生」の種類
福利厚生は、国が導入・実施を義務付けしているものと、企業が独自に導入・実施しているものの2種類存在します。
それぞれの特徴を把握しておきましょう。
法定福利厚生
国が導入・実施を義務付けしている福利厚生を「法定福利厚生」といいます。
主な制度の内容は、以下の通りです。
健康保険:主に医療費の負担をサポートしてもらえる保険制度。
厚生年金保険:国民年金にプラスして支払われる年金制度。
介護保険:介護サービスを受けるための給付金が支給される保険制度。
労災保険:通退勤中や業務中にケガを負った場合に給付金が支給される保険制度。
子ども・子育て拠出金:子育てや育児支援を目的とした制度。(旧:児童手当拠出金)
企業に就職すると必ず加入することになるのが、法定福利厚生です。
従業員が安定した収入を得て、安心して生活するために、国によって整備されている制度です。
法定外福利厚生
法律で義務付けられているわけではなく、企業が独自に導入・実施している福利厚生を「法定外福利厚生」といいます。
主な制度の内容は、以下の通りです。
・住宅関連
・健康・医療関連
・育児・介護関連
・慶弔・災害関連
・財産形成関連
・自己啓発関連
法定外福利厚生の詳細については後述しますが、主に自社内で提供されるものと、外部サービスに委託して提供されるものの2種類に分かれます。
法定外福利厚生については、企業独自の要件によって対象が定められるため、パート・アルバイトの方などは対象外となることもあります。
代表的な福利厚生の内容
福利厚生では、具体的にどのような内容があるのでしょうか。
福利厚生の代表的な取り組みについて解説します。
住宅
法定外福利厚生の中でも人気が高いのが、住宅関連のサポートです。
住宅関連のサポート内容には、社宅や寮といった物件そのものを提供する形もあれば、家賃保証や住宅ローン保証で支払いを補助する形もあります。
住居に関する費用は月の支出の中でも大きなものとなるので、極力支出を抑えたい場合には、住宅関連の福利厚生が充実している企業への就職を目指すと良いでしょう。
健康・医療
健康・医療関連の福利厚生には、主に人間ドックのような法定外健康診断や、ジムの利用費補助といったサービスが含まれます。
健康診断を自費でするとなると、保険が適用されないため高額な費用がかかります。
また、ジムの利用にも費用がかかるため、健康・医療関連のサービスもあると嬉しい福利厚生の一つです。
育児・介護
就職したばかりの頃は利用する可能性は低いものの、将来的にあると嬉しいのが、育児・介護関連の福利厚生です。
育児・介護関連の福利厚生は、育児や介護を両立しながら仕事をするためのサポートです。
保育補助や介護支援を受けられるため、将来的に結婚して子供を持つことを考えている方や、ご家族の介護に備えたいという方は、育児・介護関連の福利厚生が充実しているかチェックしておくと良いでしょう。
慶弔・災害
日常的に利用するわけではありませんが、いざという時にあると嬉しいのが、慶弔・災害関連の福利厚生です。
結婚や出産の際に祝い金を受け取ったり、ケガや病気、災害に遭った際に見舞金を受け取ったりすることができます。
慶弔や災害時には金銭的な負担が大きくなるため、福利厚生という形でサポートをしてくれる企業を選んでおくと安心です。
財産形成
老後資金が問題となっている現代、財産形成関連の福利厚生の人気が高まっています。
財産を貯蓄できる制度や持ち株会、投資に関する教育や年金保障制度など、将来的な経済面の不安を払拭できるようサポートしている企業が増えているのです。
毎月の給与から控除されることでコツコツと資産の形成ができるため、長く勤めたいと考えている方や、将来の不安を払拭し安心して働きたいという方は、財産形成関連の福利厚生が充実した企業を選択すると良いでしょう 。
自己啓発
資格取得やスキルアップは、就職活動に有利になるというだけでなく、就職した後にも仕事に対するモチベーションを上げたり、収入アップを目指したりするのに役立ちます。
資格取得やスキルアップのサポートが受けられるのが、自己啓発関連の福利厚生です。
セミナー参加費の援助や資格取得援助金の給付など、自身の成長に繋がるサービスが提供されます。
レクリエーション
レクリエーション関連の福利厚生は、従業員の心身のリフレッシュを目的に取り組んでいる企業もあります。
懇親会費やサークル活動費、イベント開催費の補助が主なサービスで、従業員同士のコミュニケーションを活性化して絆を深めるという意味合いでも導入・実施されています。
レクリエーション関連の福利厚生は独自性が強く、企業によって提供する内容は異なるため、就職活動の時点でチェックしておくと良いでしょう。
福利厚生には様々な種類があり、仕事だけでなく生活にも大きな影響を及ぼします。希望する就職先を選ぶ際には、利用できる福利厚生の内容にも注目しましょう。
あると嬉しい!人気の「福利厚生」
福利厚生の中でも、特に人気の高い内容をご紹介します。
どのような福利厚生があると良いのかわからないという方は、以下でご紹介する取り組みの有無を確認してみましょう。
住宅関連
法定外福利厚生の中で従業員から最も支持されているのが、住宅関連です。
住宅関連の福利厚生では、主に以下のような内容が受けられます。
・家賃補助
・住宅手当
・社宅・寮の提供
さらに、暖房費がかかる雪国のように地域特有の出費が発生する場合には、「寒冷地手当」が用意されていることもあります。
住宅に関する費用は誰にでも発生する大きな負担なので、住宅関連の福利厚生が用意されている企業を選んでおくと安心です。
健康関連
時間や手間、コストがかかることから敬遠されがちな健康診断ですが、健康維持のためにも定期的に受けることが推奨されています。
近年は健康関連の福利厚生が注目を集めていて、企業側も健康維持や病気の早期発見に繋がる様々なサービスを提供しています。
・人間ドック
・スポーツイベントの実施
・スポーツ施設利用の補助
健康診断が受けられることはもちろんですが、病気を未然に防ぐためにもスポーツの取り組みに力を入れる企業も増えています。
ライフサポート関連
福利厚生は仕事だけでなく、私生活にも役立つ制度です。
企業が提供することで、私生活でどのように役立つのでしょうか?
例えば当社「神奈川トヨタ自動車株式会社」では、企業独自の福利厚生として、自家用車の購入をサポートする制度が用意されています。また、財産形成支援や住宅補助制度、育児・介護のための特別休暇など、生活に関する福利厚生も充実しています。
仕事だけでなく、私生活を安定させたり、充実させたりすることができるのですね!
その通りです。同じ職種でも、就職先によって福利厚生の種類は異なるため、就職活動の段階でチェックしておくことが大切です。
万が一の時のサポートも嬉しいものですが、日常で役立つことから支持されている福利厚生がライフサポート関連です。
食事や買物、育児や介護など、日常生活を支える内容が複数用意されているという点が特徴です。
・食事補助
・買物補助
・育児・介護支援
・財産形成サポート
・交通関連手当
ライフサポート関連の取り組みは多種多様で、企業によって用意されている内容は異なります。
食事補助は、昼食代などの飲食代の負担や、従業員割引の適用、社員食堂の設置など様々な形があります。
企業の独自性が強く現れる福利厚生ですので、希望の就職先を探す際にチェックしておくと良いでしょう。
レクリエーション関連
仕事へのモチベーションをアップさせるためには、定期的な心身のリフレッシュが必要です。
生活を支えてくれる福利厚生も人気ですが、あると嬉しいのがレクリエーション関連の福利厚生です。
・社員旅行
・イベント開催補助
・懇親会補助
・サークル活動補助
お金を稼ぐという目的だけでなく、楽しみながら働きたいと希望する方には、レクリエーション関連の福利厚生にも注目してみましょう。
福利厚生の中でも特に人気が高いのが住宅関連であり、近年注目度が上昇しているのが健康関連の福利厚生です。人生設計に合わせて、必要な福利厚生は何か、就職活動の時点で考えておくと良いでしょう。
「福利厚生」のメリット
福利厚生の充実化に力を入れると、企業にとってどのようなメリットが得られるのでしょうか。
具体的なメリットをいくつかご紹介します。
人材が集まりやすくなる
福利厚生が充実しているということは、従業員に提供している報酬・サポートが充実しているということです。
そのため、福利厚生をプラスポイントとして、企業への入社や転職を希望する人材が多く集まる傾向にあります。
採用力を強化したいという場合に、福利厚生を導入・実施するという企業も珍しくありません。
他社との差別化を図るという意味でも、企業にとって福利厚生を充実させることは大きなメリットとなるのです。
企業としての信頼度が上がる
企業のブランド力を上げるという意味でも、福利厚生が導入・実施されることもあります。
従業員に対するサポートを多く用意しているということは、従業員を大切にする、働きがいのある企業であることを意味します。
信頼できる企業だと社会的にアピールする手段となることから、福利厚生の充実化を図ることは、企業にとって大きなメリットだといえるでしょう。
節税効果が得られる
福利厚生にかかる費用は、一定の条件を満たせば「福利厚生費」という経費として計上することが可能です。
そのため、福利厚生を充実化することで、法人税の節税効果が得られるというメリットもあります。
福利厚生は、従業員と企業の両方に相互利益を生み出す制度だといえるでしょう。
従業員のモチベーションがアップする
企業が福利厚生を充実させるメリットには、従業員のモチベーションをアップさせることができるという点も挙げられます。
住宅建築や健康維持のサポートをしたり、カフェやジムといった利便性の高い施設を提供したりすると、従業員のモチベーションがアップします。
企業が公私共に支えてくれるという安心感を得ることで、仕事へのやる気もアップして生産性の向上に繋がるでしょう。
福利厚生は従業員にとって魅力的な制度ですが、実は企業側にも様々なメリットがあります。就職後の仕事に対するモチベーションをアップさせるためにも、福利厚生が充実した企業への就職を目指しましょう。
「福利厚生」のデメリット
種類が充実している企業がある一方で、導入・実施しているサービスが少ない企業もあります。
福利厚生の導入・実施をすることで、企業にデメリットが生じることもあるのでしょうか。
考えられるデメリットをいくつかご紹介します。
コストがかかる
いくら法人税の節税効果が得られるとはいえ、福利厚生を導入・実施するとコストもかかります。
日本経済団体連合会は、従業員一人あたりに月10万円程度の福利厚生費がかかると発表しています。
当然、従業員数が増えるほどに負担は大きくなるため、福利厚生の導入・実施にかかるコストは、維持することが一つの課題となります。
法定外福利厚生の種類が少ない企業は、コスト削減をしている可能性があるといえるでしょう。
制度の廃止が難しい
メリットをご紹介する項目で、福利厚生を充実させると従業員のモチベーションアップに繋がると説明しましたが、反対に廃止するとなると、従業員のモチベーションが下がってしまう可能性があります。
上記のように、コスト削減といった理由で実施していた福利厚生を廃止すると、従業員の仕事に対するやる気が下がってしまうという点が、デメリットとして挙げられるでしょう。
取り組みを停止する際には、従業員に対して丁寧な説明をして理解してもらったり、新たな制度を導入したりといった企業側の努力が必要となります。
管理の手間がかかる
導入・実施すると決めても、福利厚生は簡単に用意できるものではありません。
申請書類の作成や受け付け、利用機関との連携など、福利厚生を管理するために企業側の負担が大きくなることがあります。
種類によって処理方法は異なるため、福利厚生が充実するほどに管理負担が大きくなるのです。
複数種類の福利厚生を実施・維持している企業は、従業員を大切にしているといえるでしょう。
まとめ
企業側の目線からも福利厚生について考えることでより深く理解して頂けたはずです。
企業によって導入している制度は異なるため、少しでも福利厚生の内容が充実した企業を選んでおくと安心です。
希望する就職先を決める際には、仕事内容や収入といったポイントに注目することも大切ですが、福利厚生の内容もあわせてチェックすると良いでしょう。
福利厚生は、人生設計を考える上で重要な要素となります。
福利厚生が充実している企業に就職することは、仕事だけでなく私生活の充実にも繋がります。