記事に登場するキャラクター
Aさん
就職活動中の学生。エントリー先を選定する際に年収や給与面も重視したいため、平均値を把握しておきたいと思っている。
神奈川トヨタ自動車 リクルート室 室員
神奈川トヨタ自動車の採用担当。 トヨタモビリティ神奈川で営業職を経験したのち、採用担当へ。 現場経験を活かし、より”リアルなノウハウ”で就活生をサポートします。
今回のテーマは「新卒社員の平均年収」です。就職活動に臨むにあたって、年収がどれくらいなのか気になっている学生は多いと思います。
はい!できるなら年収が高い職業に就きたいというのが本音だったりします。
そうですよね。就職先を決めるポイントとして給与面の比重が大きくなるのは当然のことです。
新卒の場合、年収いくら以上もらえると多いほうになるんでしょうか?
具体的な金額は学歴や企業規模、職種などさまざまな要因に左右されます。
業界別の平均年収や、高年収が期待できる業種について詳しく見ていきましょう。
新卒の平均年収はいくら?
年収とは、1月1日から12月31日までの1年間に会社から支払われる総支給額のことで「税込年収」や「額面年収」とも呼ばれます。
新卒の平均年収は業界全体で約200万円〜250万円といわれており、月収に換算するとおおよそ16〜21万円が相場となっています。
新卒で給与が月21万円以上あれば高収入の部類に入るんですね。
そういうことになりますね。ただし、年収に含まれているのは基本給だけではありません。
交通費、賞与(ボーナス)、住宅手当なども含まれているので、12分割した金額がそのまま毎月の給与になるわけではない点に注意してください。
年収に含まれる項目
年収には、さまざまな項目の金額が含まれています。以下はその代表的なものです。
- 基本給
- 賞与(ボーナス)
- 時間外労働手当
- 住宅手当
- 通勤手当
- 資格手当
基本給や諸手当の項目・金額は各企業が設定する条件によって異なります。
年収にボーナスが含まれているとは思っていませんでした。
それじゃあ、もし求人票に「年収300万:賞与あり」と記載があったら、300万円は賞与を含めた金額ということですよね?
そうです。このような書き方だと「年収+賞与」と捉えてしまいそうですが、実際は「年収=賞与を含んだ金額」となります。
なるほど。支給される手当の項目も年収に影響することが分かりました。
どのような諸手当をつけるかは企業によってさまざまですし、職種や個人の業績によっても大きく変わってきます。
たとえば、神奈川トヨタの営業職の場合は賞与が年2回(7月・12月)支給されるほか、成果に応じて報奨金もあるので平均年収を大きく上回る可能性があります。
「インセンティブ」というやつですね!
自分の頑張りをきちんと評価してもらえるとモチベーションも上がるし、もっと会社に貢献しようという意欲にもつながる気がします!
「年収」と「手取り」の違いを理解しておこう
年収は、基本給のほかに諸手当を含めた金額であることはすでにお伝えしましたが、税金や保険料などを差し引く前の「額面(総支給額)」であることも理解しておきましょう。
実際に手元に入ってくるのは、税金や保険料を差し引いた金額(=手取り額)になります。
一般的には額面のおよそ75~85%くらいが、手取り額の目安といわれています。
「年収」として書かれているお金がすべて手元に入ってくるわけではないんですね。
【タイプ別】新卒の平均年収
次に、新卒の平均年収を以下3つのタイプに分けて見ていきましょう。
- 卒業区分別
- 男女別
- 企業規模別
なお、平均年収については国税庁の「令和4年賃金構造基本統計調査」で公表されている数値をもとに【新規学卒者の賃金×12ヵ月】で算出しています。
賞与等の金額は含めていないため、賞与や諸手当の支給がある場合は金額が上がることになります。
卒業区分別の平均年収
最終学歴 | 平均年収 |
---|---|
高校 | 2,174.4 |
専門学校 | 2,551.2 |
高専・短大 | 2,427.6 |
大学 | 2,742 |
大学院 | 3,214.8 |
卒業区分別の平均年収を見てみると、学歴が高いほど年収も高くなっていることが明らかです。
学歴は新卒時の年収だけでなく昇格や昇給にも影響を与えるケースが多いため、将来的にも大きく収入の差を生むことが予想されます。
男女別の平均年収
以下は、男女別の平均年収です。学歴が同じであっても性別による差異が見られます。
最終学歴 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
高校 | 2,200.8 | 2,131.2 |
専門学校 | 2,484 | 2,599.2 |
高専・短大 | 2,449.2 | 2,421.6 |
大学 | 2,756.4 | 2,726.4 |
大学院 | 3,262.8 | 3,082.8 |
学歴は同じなのに、男女で年収に差が出るのは不思議ですね。
同じ学歴でも男女で差が出る理由の一つとして挙げられるのが「選ぶ職種の違い」です。
たとえば、男性はインセンティブや単身赴任手当などがつく総合職を選ぶことが多く、女性は転勤がない事務職を選ぶことが多い傾向にあるんです。
なるほど。基本給も、事務職より総合職のほうが比較的高く設定されていますもんね。
そうなんです。総合職と事務職では、基本給を含め諸手当の項目や金額も異なることが多いので年収に差が出やすいといえます。
企業規模別の平均年収
企業規模別の平均年収は以下のとおりです。
なお、こちらのデータは最終学歴別ではなく年齢階級で公表されているため、一般的に高卒~大学院卒に該当する年齢層をピックアップして算出しています。
年齢階級 | 大企業 | 中企業 | 小企業 |
---|---|---|---|
~19歳 | 2,253.6 | 2,187.6 | 2,197.2 |
20~24歳 | 2,726.4 | 2,600.4 | 2,516.4 |
25~29歳 | 3,198 | 2,948.4 | 2,856 |
企業規模については、「大企業=常用労働者1,000人以上」「中企業=常用労働者100~999人」「小企業=常用労働者10~99人」となっています。
比較すると、平均年収は大企業のほうが高いことが分かりますね。
なお、2年目以降に加算されるボーナスや昇給・昇格を考慮すると平均年収の差はさらに大きくなる可能性があります。
企業規模は将来的な収入にも影響を与える要素の一つですので、就職活動の際には考慮しておくといいでしょう。
平均年収は都道府県によっても変わる
新卒者の平均年収は、地域によっても差があることを知っていましたか?
地域によってアルバイトの最低賃金が異なるので、社会人の給与もなんとなく違うかなという認識はあります。
大卒の新卒初任給データを都道府県別に見てみると、最も高いのは東京都の22万円で年収に換算すると約264万円。次いで、神奈川県が21万円(年収252万円)となっています。
一方で、最も低いのは沖縄県で初任給17.5万円(年収210万円)となっていて、一番高いエリアの年収と比較して50万円以上の差があるんです。
どうしてこんなに大きな差が生まれるんだろう?企業数や人口の多さが関わっているとは思いますが…。
そうですね。企業数の違いも影響していますが、地域ごとの家賃や物価相場の違いも要因の一つです。
また、地域によって盛んな業種も異なるので、業種による平均給与の違いが都道府県別の初任給の平均値にも影響していると考えられます。
※都道府県別初任給の数値は厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況」を参照。
高年収の仕事にはどんなものがある?
高年収が期待できる仕事は色々ありますが、経済状況や社会の変化によっても影響を受けるため、トレンドや需要の高い分野を見極めることもポイントといえるでしょう。
ここでは、5つの代表的な業種をご紹介していきます。
金融
金融業界とは、銀行・証券会社・保険会社・クレジットカード会社などが当てはまります。
金融業界ではその名の取り、お金の取引や金融商品の売買をおこなうため、リスク管理などの専門的な知識が不可欠であり、高度なスキルを持つ社員には大きな報酬が与えられることがあります。
ただし、報酬が高い反面大きな責任を伴う仕事も多く、精神的なプレッシャーやストレスを感じることも少なくありません。金融業界での成功は高収入をもたらす一方で、専門性や適応力が問われることも覚えておきましょう。
メーカー
メーカーも高年収が期待できる業種の一つに挙げられます。特に自動車や電機などの大手メーカーは企業規模が大きく、高い報酬を得られるのが一般的です。
ただし、「大企業だから」と安心してしまい、向上心がない場合は収入のアップが難しいかもしれません。
日本はもちろん、グローバル市場で競い合うためには日々変わりゆく技術に対応する知識が不可欠です。そのため、絶えず学び続ける成長意欲が求められるのです。
社員の成長を促す制度が整っているかどうかは企業選びで注目したいポイントです。
たとえば、神奈川トヨタの場合は営業職・エンジニア職を問わず、資格取得やセミナー・勉強会への参加など自己啓発を支援する「自己啓発支援制度」があり、自分を成長させる機会が豊富に用意されています。
この業界に限ったことではありませんが、常に学ぶ意欲を忘れず向上心を持って仕事に取り組むことが大切といえるでしょう。
総合商社
総合商社は多様なビジネスを手がけ、グローバルで活躍する社員も多いため年収が高い業種として有名です。ただし、新卒入社時の年収は平均とそれほど変わらない傾向があります。
総合商社の特徴として昇給額が大きいため、30代になると年収が急激に上昇して同世代の平均をはるかに上回るケースが出てきます。大手商社では30代で年収1,500万円を超えることも珍しくありません。
ただし、海外赴任が多いので家族やプライベートを犠牲にしてしまうリスクが想定されます。
また、海外での活躍にはビジネスで通用するレベル の語学力も不可欠です。高い年収が目指せるものの、それに伴う生活の変動や課題にも対処する適応力が必要といえるでしょう。
IT関連
IT通信業界は高度な専門知識を必要とするため、多くの企業で高年収が期待できます。
特に最近では、デジタル技術を活用して業務や商品・サービスを改善していく「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の推進が進んでおり、企業や民間がITツールへの期待を高めています。このような背景もあり、IT関連の職種では今後も高水準の給与が期待できるでしょう。
ただし、技術の進歩が非常に速いため、常に最新の知識を追求する心がけが大切です。この分野では学び続ける姿勢が重要であり、自らスキルを向上させることが高収入の鍵となります。
新技術の導入やプロジェクトの進行に伴って柔軟なスケジュール調整が求められることもあるため、その点も考慮して働く環境を選ぶようにしましょう。
建設・不動産
建設・不動産業界は大規模なプロジェクトに携わることが多く、高い給与に期待できる企業が多いです。
ただし、現場で働くスタッフは長期の出張を余儀なくされることもあります。物理的にハードな仕事が多いため、身体的に負担が大きいというデメリットも考慮しなくてはいけません。
建設・不動産業界での高年収を目指す際は、自分がどのような職種に向いているのかよく検討したうえで方向性を定めることが大切です。
年収はあくまでも就職先を決める要素の一つ
平均年収の傾向を調べ、自分自身の希望と照らし合わせることで仕事内容・収入ともに納得のいく選択がしやすくなります。
しかし、年収はあくまでも就職先を決める要素の一つにすぎません。
たとえば、給与が高い企業に就職できたとしても「残業が多くて寝不足続き」「休日は疲れて出かける意欲がない」「やりがいを感じられない」という労働環境だった場合、果たしてそれで充実しているといえるでしょうか。
就業時間・福利厚生・離職率など、見るべき観点はさまざまです。視野を広く持ち、自分にとって働きやすそうな環境の職場を探しましょう。
幸せなキャリアを築くためには、給与だけに注目するのでなく、総合的な労働環境に注目することが重要です。
「初任給」と「基本給」は違う点に注意
そういえば、求人票を見ていると「初任給20万円」と書かれていたり「基本給20万円」と書かれていたりするのを見かけるんですけど、何か違いがあるんでしょうか?
基本給と初任給は混同されがちですが、実はその金額に含まれている項目が違うんです。
含まれている項目…?
たとえば、「初任給20万円」は基本給に通勤手当や残業手当といった諸手当が加算されている金額です。
これに対して、「基本給20万円」はまだ諸手当がプラスされていない状態です。そのため、後者のほうが受け取れる金額が高くなると予想できます。
なるほど。初任給だけではなくて、基本給も確認しておいたほうが良さそうですね。
そのとおりです。「初任給が高い」という理由で選んだけれど、残業が少ない月だと手当がつかなくて想定より給与が低い…なんてケースもあるので、基本給も確認しておくようにしましょう。
「初任給が高いのは離職率が高いから」というのは本当?
「初任給」が高い企業にはさまざまな特徴があります。
たとえば、ベンチャー企業では少数精鋭の企業が多く、優秀な人材を引き寄せるために高額な初任給を設定するケースがあります。こうした企業は、「優秀な人材にはこれだけお金を出す価値がある」と前向きな姿勢を持っているといえるでしょう。
一方で「サービス残業が常態化している」「就職・転職サイトの口コミ評価が悪い」など、初任給を高く設定しないと人が来ない、いわゆるブラック企業であったりするケースもあります。
必ずしも「初任給が高い=離職率が高い企業」とはいえませんが、なぜ高く設定されているのかを理解したうえで応募することが大切です。
『ブラック企業』を避けるために見るべきポイントがあれば教えてください。
まず、同業他社と比べて初任給(あるいは基本給)が異常に高い場合は、入社後に極端なノルマや時間外労働を強いられる可能性があるので注意が必要です。
相場より低すぎる場合も何かしら理由があるので要注意ですね。
相場を把握しておくことでリスクが高い企業を避けることができるんですね。
それと、「みなし残業代を含む」という文言が書かれている場合も注意が必要です。
みなし残業って何ですか…?
これは「基本給に月〇時間の残業代も含まれていますよ」という意味で、みなし残業の時間を超えない限り残業手当は支給されない仕組みです。
主に、労働時間を正確に把握しづらい営業職や研究・デザイン職などで多く見られます。
この文言が書かれている場合は、何時間までがみなし残業になるのか確認しておくことが大切です。
残業が発生しやすい仕事に書かれている傾向があるってことですね。そこも確認するようにします。
新卒はいつからボーナスをもらえる?
一般的なボーナスは、夏と冬の年2回支給されます。
新卒の場合は仕事を評価する材料が乏しいため、入社年の夏は「寸志」という形で数万円ほど支給され、冬に初めてボーナス支給になるケースが多いです。
ボーナスの支給は法律で定められているわけではなく、支給の有無や金額は企業がそれぞれに決定しています。
ボーナスの支給額はどうやって決めているんでしょうか?
多くの場合は在籍期間や業績、個人の成績・設定目標の達成度などを評価して支給額を決定します。
ボーナスを支給していない企業もあるんですよね?
そうですね。企業によってはボーナスを支給しない代わりに毎月の給料を高めに設定していることもありますよ。
まとめ
新卒の初任給や平均年収は、学歴や企業規模、業界、地域などによって大きく異なります。これらの要素は就職先を検討する際に重要なポイントであり、自身の希望やライフプランに合わせて選択することが大切です。
とくに、ボーナスの有無は実質年収に大きな影響を与えるため、企業のポリシーや契約条件についてしっかり確認しておくべきでしょう。
また、給与面だけでなく休暇や勤務時間、福利厚生など働きやすさに関する情報もチェックしてみてください。
総合的な判断を行い、自分にとって理想的な就職先を見つけましょう。